NPO法人地球の緑を守る会  地球温暖化どうする?

緑に守られる地球
緑の葉 地球の温暖化ってどんな問題?

画像51 地表の温度が上昇すること。原因は、地上で発生する熱を宇宙に放散するのに妨げとなる、二酸化炭素などの温室効果ガスが地球を包んでしまうことによる。

エネルギーを消費すること自体が即、地球の温暖化を促進するとは言えない。太陽のような恒星は、地球のような惑星よりも比較にならないほどの熱を発生しているが、その熱エネルギーは広大な宇宙に放散されてしまう。同様に、地球上で発生した熱エネルギーがスムーズに宇宙に飛び出してしまえば、温暖化の問題は起こらない。

地球には本来、二酸化炭素を吸収する天然のシステムがある。海と森だ。しかし海と森が吸収できる量を超えた二酸化炭素の過剰分が、エネルギー消費型社会の発達により増大してきた。しかも、海と森の二酸化炭素吸収力が地球環境の破壊により低下傾向が続いている。

二酸化炭素を過剰に生成する原因の最大手は、石油、石炭などの化石燃料の使用だ。しかし、今すぐに化石燃料の使用を全面的に中止して、一足飛びに風力、水力、波力、太陽光、太陽熱エネルギーなどの、いわゆるクリーンエネルギーに移行するとしたら、我々はとてつもないコストを引き受けなければならない。

ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの使用を前面ストップしたら、運送費はどうなる?自動車産業はどうなる?一つ間違えば、経済が超長期にわたって低迷しかねない。さて、どうする?

緑の葉 地球の温暖化で地球はどうなる?

画像52 寒い冬が暖かくなるって、喜んではいられないぞ。地球上の生命体の多くは、冬を通過して初めて春の活動をする生理が働く。例えば桜の花芽は、寒い冬に休眠が打破され、つぼみの支度をする。仮に1月が現在の4月のように暖かくなっても、新年を桜の花見で祝うことは難しい。ほんの少しくらいは咲くかもしれないけれど、新春は梅の方が似合うのでは?他にも穀物、野菜、果物など、生産適地が北に移動することになる。病害虫も活性化する。人間社会は対応に苦しむだろう。

季節感が変われば、詩歌の情感や季節の行事などの文化遺産も現実感覚に合わなくなるかも。情緒のズレや情操の混乱による精神的損失は計測不能であろう。

さらに身に迫る問題は、温暖化による海水面の上昇、それに伴う陸地の水没。いくつかの島国は国土の大部分を失う。気温の上昇による、気象変動。降水分布の変化は大きな災害につながる。食糧生産態勢が狂えば深刻な食糧危機もあり得る。地球全体にわたる生態系の激変により、多くの生命活動が今まで以上に混乱したり、種の絶滅が加速する。さて、どうする?

緑の葉 地球の温暖化で日本はどうなる?

画像53 では、地球の温暖化が進むと、日本列島にはどんな変化が現れるだろうか? 亜熱帯の沖縄と南洋諸島が熱帯になり、温帯の九州、四国、本州が亜熱帯になり、北海道以北が温帯化したら、どうなるだろう?首都圏でバナナやパイナップルの露地栽培がなされ、北海道がみかんの名産地になるかもしれない。ではリンゴはどこで?キャベツ、白菜、大根は?

熱帯に分布してきた病原の媒介昆虫が北上する。マラリア、デング熱、黄熱、眠り病などが本州の風土病になるか?コレラ、赤痢などの感染リスクも飛躍的に高まるかもしれない。

東京の冬はなくなり、春と秋は夏日に、夏日は真夏日に、真夏日は猛暑日に格上げ(?)か。スキーは本州の山岳地帯と北海道で楽しみましょう。タンチョウ(鶴)は日本にやって来るだろうか? 海流が変われば、魚の種類も変わるだろう。入学式、入社式の風景であった桜は、アジサイやヒマワリに取って代わられるも。子供や孫たちは、春の到来の喜びを知るだろうか?「心の温かい人」、「暖かい歓迎」などの表現はどういう響きを持つのだろう?

四季折々に美しく彩られる日本の自然が様変わりするのは寂しい。長い間、それは日本の宝だった。日本に生まれて良かったと思う理由の一つであった。これは絶対に失いたくない。さて、どうする?

緑の葉 私たちにできることは?

画像54 地球の温暖化は、とても大きな問題だけど、私たち一人一人の努力も大切だ。例えば、「もったいない」の精神で無駄を減らす努力、便利さ、手軽さ、快適さとその代償を考え直してみること、など地道な努力が必要だ。

もちろん、一人一人が孤立してささやかな緑化やエネルギーの節約を試みても、地球規模で激しく進む自然破壊の巨大な勢いを止めることは困難に思える。大小、緩急、公私、さまざまな規模や特質を持った運動が手を結んで地球規模のネットワークを構築することが強く望まれる。アマゾンの森をその現場で守ろうとする勇気ある活動員も、自然保護運動の強い連帯感で支えられている。

木を切るよりも、木を切らない方が収入が多くなる仕組み、病気を治す技術も大切だが、病気を防ぐ環境造りにもっと投資したくなる仕組み、カネを使うより、カネを使わないほうが豊かになる仕組み、遠い海外から安い食料品を高い燃料費を使って輸入するより、地元で採れた安全で美味しい農産物を好む消費嗜好など一見して面倒だが持続可能な仕組みを如何に実現するか、もはや残された時間はあまり多くなさそうだ。

緑の葉 NHK解説アーカイブスより

くらし☆解説 「シリーズ地球温暖化(1) "どうなる?どうする?温暖化"」
くらし☆解説 「シリーズ地球温暖化(2) "世界の温暖化対策は?"」
くらし☆解説 「シリーズ地球温暖化(3) "深刻化する災害 温暖化にどう備える"」
時論公論 「『パリ協定』採択 低炭素社会への課題」
視点・論点 「COP21とパリ協定」

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